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周りの音が遠くてでも近くに聞こえる

周りの音が遠くてでも近くに聞こえる

音が途切れたような世界のなかにいる。私はどこかで選ばれて何かを秘めているに違いないと思っていた感情がどんどんと遠ざかっていく。

空中から押し寄せて一体どこにたどり着こうとしていたのだろう

人は何も知らないことを批判して何かを知っていることを尊敬する

人の中に埋もれないために何かを知るべきだと毎日どこかに行き誰かと会い何かをしたり 誰かが何かをしているということを逃さないように確認していた すると私が私のためにすることが離れていって 容器だけの身体になった あなただけの世界にいるような 純真で 何も知らない子に会った時 失っているものに気づいた 時は進むという当たり前のことの中に閉じ込められて 私を進ませていなかったこと 人と人が交わる時は月の明かりに照らされていなくてはいけないし それくらい神秘的な身体を私たちは持っていること 消費という世界で 消えていったその美しさを取り戻したくて ふと気がついた でもずっと空っぽだったのかもしれない 自分の中のそれが 蚕を育てて繭を作ってその蚕を冷凍庫に入れて殺して お湯で煮て 糸を出した時からあったのかもしれない 焦らなくて良いのならばせめて どこに向かえば良いのかを教えて欲しい 冷蔵庫に入れられるために生きているのかもしれない